2016年7月4日月曜日

バラック?(2)

仮設小屋とはいえ、いくつかの「構造」を持つために、いくつかの基準が設けられるでしょう。



・上演における時間の問題。
・演技における構成の問題。
・ア・プリオリな空間と自然な空間、そして人工的な空間が及ぼす演技への影響
・舞台芸術のアーカイブと社会普及の問題。

そしてこれらを、
・理論化すること。
・実演家に習得してもらうこと。
・研究対象として観察・分析可能な枠組みを設けること。

を最終的な目標としています。

「理論化すること」に抵抗がある方がいらっしゃるのを覚悟で言いますが、これらのことを「理論化すること」に私たちは興味があります。つまり、観察可能にし、再現可能にし、伝達可能にすることです。むろん、それは簡単なことではありませんが、舞台芸術の技術について書くことを大きな目標として設定しています。

これまで私たちはささやかではありますが、ワークショップ活動と美学の勉強会、そしてコンタクト・インプロビゼーションの研究会を立ち上げてきました。どれもまだ成熟するに至らず未発達のままですが、少しずつ長いスパンで成果を出せればと考えております。

私たちの理想を適えるのは、みなさんの参加によってです。是非とも、私たちの活動に参加いただければ幸いです。

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率直に私たちの活動に不足していることを書きます。なぜなら率直に言って人材が不足しているからです。それは実演家です。実演家の参加が最も不足しており、試してみたいと考えている多くのことが、実演家の不足によって実現されないままでいます。

また同時に、実演家が理論に興味を示さないことです。もちろん、多くの実演家が稽古に励み、腕を磨いていることを理解しながらも、未発達な演劇理論に興味を示し、それを発展させようという実演家を探すとなると、絶望的な状況です。

むろん、世界的に見ても同じことでしょう。
理想を言っているように、もしくは絶望的なことを言っているように聞こえるかもしれませんが、実際的な問題はここに尽きます。

そして同時に、演技に関する「研究」が個人レベルで終わってしまい、共同して理論を構築していくような枠組みが存在しないことも大きな問題です。

具体的に言えば、20世紀初頭にロシア・アヴァンギャルドの芸術家たちによって提起された問題が、1960年代に「ポスト・モダン」という形である程度の運動性を持ったものの、文法の解体というスローガンによって理論化される機会を失ったまま現在に至ってしまっていると指摘することが出来るでしょう。近年に至ってようやく(例えば日本の文脈では)「アングラ演劇」が研究の対象として認められてきましたが、まだまだ必要な作業は山積みのように思えるのです。

私たちは以上の大きな二つの問題を抱えています。
皆さんの参加が従って私たちにとって大きな躍進となることでしょう。バラックは全ての人に開かれています。是非ともお気軽にご連絡いただければ幸いです。